生徒会長は女の子が苦手です
この人、ほんとに苦手かもしれない。


やだ、ほんとに。


伊織来てくれないかなぁ。


てかもう誰でもいいから助けてほしいなぁ。


あわよくば伊織に助けてもらいたい…なぁ…。


なんて、思ってしまう。


目の前の男の子を押す、けど動かない。



「先輩って見た目通り力弱いっすねー。


こんなんじゃ、いいようにされちゃいますよ?」



押し返そうとしていた私の手を体同様、壁に押し付けると、私の顔に彼の顔が近づいて来る。


「や、やめて」


「うわー、これはそそる」


そう言って、私の唇に自分の唇をくっつけようとする男。


思わず目をつむる。


や、だ…。



「あ、見つけた」



唇がつく寸前。扉が開いて立っていたのは。



「か、いちょう」


「ちっ」


1年生の男の子は舌打ちをすると私から離れる。


私は、そのまま崩れ落ちてしまった。


1年生はスタスタと伊織の横を通り過ぎようとする。


すると、伊織は1年生のネクタイを引っ張って、無表情になる。


「人の女に手ェ出してんじゃねぇよ」


「…っ、」


1年生はビビりながら教室を出ていった。


伊織はそれを見届けて私に近づいて来る。
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