生徒会長は女の子が苦手です
電話越しでも伝わる、不安そうな七瀬の声。


俺、こんなことしてたんだ。



「わかった。今から行くよ、ちょっと時間かかるけど、待ってて?」


『…うん。待ってる』



そう言って七瀬は電話を切った。



「七瀬ちゃん、なんて?」


「誕生日プレゼントは俺がいいって言われた」


「よし、お兄ちゃんがお前のこと殴ってやる。

そんな羨ましいこと言われたことないっ!」


「いってらっしゃーい、鍵ちょうだい?私帰る」


「あぁ、ポストに入れといて」


「はいはーい」


そう言ってショッピングモールの出口の方向を向くと、北斗さんが言った。



「あいつ、風邪ひいたらすぐ寝るけど、鍵閉まってるぞ?」


「…どうしよう、北斗くん」


「はぁ…、ほれ、今日だけだからな。ちゃんと病院まで返しに来いよ。


…理沙が会いたがってるから」



チャリっと俺の手の中に落とされる七瀬の家の鍵。



「わかりました、ありがとうございます」



そういって、七瀬の家に向かって走る。


全力で。


あんなに可愛いこと言う子を、裏切ってしまった。


自分が大好きでたまらない七瀬を、泣かせてしまった。


本当に、どうしよう。
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