生徒会長は女の子が苦手です
「他には?」


「んー、他かぁ」



考えてみると、伊織には伝わらない話ばっかりだ。


素数はどの数字が綺麗に感じるかとか、

古典の言葉に異常なまでにときめきを感じるとか、

生き物は植物細胞の方がごちゃごちゃしてて面白いとか、

そういう訳のわからない話をしていたから。



唯一、伊織に伝わるとすれば…。


「伊織の寝言が可愛いねって話で盛り上がったよ?」


「は?盛り上がるのそれ?」


「うん、小学生みたいだねーって」


そうなんとなくいうと、伊織は少し恥ずかしそうに口元を手で覆った。


「盛り上がるとは思ってなかった…」


「ん?なんて?」


「いや、なんでもないよ?大丈夫」



伊織がボソボソつぶやくからなんて言ってたかわからなかったや。



「ねぇ、七瀬」


「ん?」


「テスト終わったら夏休みじゃん?」


「そだね」


「どっか遊びに行こうよ」


「毎日生徒会の収集あるよ?」


「へ?」


アホな顔して立ち止まる伊織を振り返る。


「今年から体育祭は文化祭の直前になったから、2学期にするんだよ?


競技とか、委員の選定とか、ルール、時間配分、先生競技の有無、練習日の日程。

文化祭の出し物の選定、行われる演技と有志のパフォーマンスのチェック、合唱コンクールの審査基準、審査員。

先生と相談しつつのできた事項のプリント作り、全生徒分のプリントのホチキス留め、その他諸々の雑用。


全部夏休みの間にするって言ったでしょ?」
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