生徒会長は女の子が苦手です
悪いな桃矢、置いて行くぞ。



心の中で思ってもない謝罪をして、反対方向に歩いて行く。



今俺絶対顔青いだろな…。



七瀬がいると、ちょっとだけマシになった気でいたのに。



全然だ。弱虫なままだ。



とりあえず人の少ないところまで…。



すると突然、後ろから手を掴まれた。



柔らかい、女っぽい手に。




「っ…」


「あ、やっぱ。伊織くん」


「あぁ、お前か…」



そこには、七瀬と同じ、数少ない俺が信頼して話のできる女、いとこの菜月がいた。



「えへへ、絶対伊織くんだと思った」


「なんでここにいんの?ここまでめっちゃ遠くなかったか?」


「遠かったよ?でも、久しぶりに伊織くんに会いたくなっちゃって」



えへへっというと、長い髪を耳にかけおどけた顔をする。



信頼してるっていうか、身内だからね。




なんとなく、話せる。



「そっか、とりあえず、俺ここ辛いから、人の少ないところに行こう」


「ん、わかった」



菜月はなかなか美形だと思う。



七瀬が美人なら菜月はかわいい、って感じの顔。



愛嬌のある笑顔とか、真面目な時のギャップに惹かれる人も多いみたいで、よく告白されたと自慢してきたこともあった。



俺からしたら、告白なんかストレスでしかなかったけど。
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