生徒会長は女の子が苦手です
そんなことを考えていたら、教室のドアが開いて、伊織が入ってきた。


「南さん」


「はい、なんでしょう?」


「クラスに配る絵の具が1セット足りないんだけど知らない?」


「あ、えっと…。あぁ、先生が職員室に1セット間違えて持って行ったままだよ。取りに行こうか」


「いや、俺が行くよ。ありがとう」



そう言って去って行く伊織。


前と同じように喋った…。



「なんだ、気まずくなんかないじゃん」


「え、裕樹?」


「いや、伊織がさ、七瀬が全然全く話してくれなくなったって言ってたからさ」


「あぁ、うん。まぁね」


「何かあったかと思ってたんだけど、そうでもなかったみたいだね」


「うん。まぁ何もないよ」



裕樹はトコトコ持ち場に戻って行く。



多分私が一方的に悲しくなってるだけ。


ずっと、伊織は頼ってくれてて、私だけだと思ってたから。


だから余計にぽっかり穴が空いた気がしてしまったんだと思う。


ほんとはきっと、そんなことないんだろうけどね。



「七瀬ちゃん。クラス費って生徒会室にあるんだっけ」


「あ、うん。多分恋菜に言った方が伝わると思うよ」


「そっか!ありがとう」



クラスの子は慌ただしくあっちこっちに行って、走り回る。


私はここで座ってるだけ…。
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