生徒会長は女の子が苦手です
「祭りで女の子といたじゃない!女の子もう大丈夫になったんでしょ!?」


変に感情的になってしまった。


落ち着こうと息を吐く。



「あぁ、違う。あれいとこだから」


「へ?」


「七瀬と一緒。小さい頃から仲良くしてたから話せるだけ。


女の子、怖くなくなったわけじゃないから」



伊織にいとこなんていたっけ?


私が会ったことないだけだったのか。


え、それじゃあ…。


「私の勘違い…?」


「そう。七瀬が全面的に悪い」


「ご、ごめん…」


「明日から、また迎えに来て?」


「え…でも、起きれるようになったじゃん」


「七瀬が起こしてくれなきゃやだ」


え、何それ可愛い。


「それに、起きるの苦手だし、七瀬が近くにいてくれなきゃ告白増えちゃったじゃん。


勉強も七瀬がいないとできない。夏休みの課題全部再提出になった。


七瀬がいなきゃ俺の家片付かないし、たまにはご飯も作って欲しい。


もさおにも会いに来てよ」



「ふふっ、なにそれ。私召使い?」


「俺の専属メイド」


ふざけて笑うと、伊織も悪ガキみたいに笑ってふざける。


よかった。


また、伊織と居られる。


安心感で満たされる。


胸に空いた穴が埋まっていく。


あぁ、多分。


好きなんだろうなぁ私。


こうやって、笑う伊織が。


私に頼ってくる、まだ子どもみたいな伊織が。


私の変化に、誰よりも早く気づいてくれる伊織が。
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