生徒会長は女の子が苦手です
「ななちゃんは大丈夫なの?」


「え、うん。私は全然大丈夫なんだけど…」



伊織、今まで知恵熱とかしか出したことなかったのに…。


冷蔵庫に入れてあったスポーツ飲料を持って仮眠室に行く。



「伊織、起きて。起きないと、顔に水かける」


「…起きた」


「はい、これ飲んで。大丈夫?今日は休んでていいよ?」



少々強引な起こし方をしたけど、まあ無事みたいだね。


ベットの横にしゃがみこむと起き上がった伊織を見上げる。



「いや、大丈夫。ちょっと休んだらまた動くから」



「ダメ、無理しすぎなんだよ。ちゃんと休んでて。


伊織、今まで知恵熱ぐらいしか体壊したことないじゃん。


疲れてるんだよ。寝てなさい」



そういうと、伊織は薄く微笑んだ。



「そっか。うん。


七瀬も頑張りすぎだよ。目の下すごいクマ。


七瀬も休まなきゃダメ。無理しすぎ。俺と一緒」



伊織は私の頬を両手で包み込んで親指で私の目の下をなぞる。


ドクン、と私の胸が跳ねる。


伊織から目が離せなくなる。



「七瀬、自分から調子悪いとか、休みたいとか、言ったことないから。


ちゃんと言わなきゃダメだよ?」


「う、うん。私は大丈夫…」


「七瀬の大丈夫は信じない。何があっても大丈夫しか言わないじゃん」



頬を包み込む手に力が入る。



「い、おり?」
< 86 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop