生徒会長は女の子が苦手です
「そろそろ素直にならなきゃダメ。

疲れたら疲れたって言わなきゃ、みんなは七瀬が出来る子だと思ってるから気づかないよ?」


伊織の顔が近づいてくる。


その度にドクン、と胸が大きな音を立てて伊織の綺麗な顔に反応する。


私の変化に、すぐ気づいてくれる。


実際、昨日は帰ったら動けなかった。


でも、疲れすぎてねれなかったのも事実だった。


ちゃんとバレない程度にファンデーション塗ってきたのに…。


なんでこの人は…。



「今日の七瀬は顔色が良くない。


いつもはぱっちりの目も今日は若干閉じてるし、たまに流れる汗が化粧混じりで透明じゃなかった。


七瀬、無理しすぎだよ」



疲れてぼーっとした伊織の顔がすぐ近くにある。



多分。誰も気づいてなかった。


伊織だけ、だった。


私を唯一、本当に知ってくれている人だけが、気づいてくれた。


それが無性に嬉しくて自然と笑顔になる。


「…ありがとう」


私は伊織から目をそらして少し顔を赤らめた。


実際は顔が熱くなったから少し下を向いた。


自分でもわかるぐらい顔に熱が集中していく。
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