生徒会長は女の子が苦手です
それはもう、今まで見たことないくらい、かっこよくて。


…悲しそうだった。



「黒瀬くんは、私じゃなくてももっといい人がいるよ」


「僕的には、七瀬さんが好きなんですけどね。


でも、僕は七瀬さんの幸せを祈りますから。


忙しいところ、止めてしまってすいません。


ありがとうございます」



そう言って、黒瀬くんは講堂まで走っていった。




「好き」か…。


私も言えたらいいのに。


でも、私にはフられることがわかった上で告白なんて、できない。


そんな勇気はない。


今まで通りの関係で十分だと思ってしまう。


でも、誰にも取られたくない。


好き、だから。



私はまた職員室までの廊下を歩き出す。


久しぶりに告白をされた。


お断りをする辛さを思い出してしまった。


胸が痛い。


悪いことをしたと思うけど、伊織が、好きなんだもん…。


好きな人がいるのに、オーケーなんてできっこない。



「いつも悪いな、南。働き者で助かるよ」


「いえ、みんなもしっかり働いてますから。私だけじゃありません」



そう言いながら職員室でプログラムをもらう。


100枚の紙を両手で持って、また来た道を戻る。


それからそれを文化委員の子に渡すと、私は講堂の入り口に立った。
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