生徒会長は女の子が苦手です
「ねぇ、七瀬」


会場の電気が消えて舞台にスポットライトが当たる。


「なに?」


「七瀬は、生徒会入ったこと、後悔してない?」


「急にどうしたの?」


私たちは舞台の方に視線を向けたまま小さな声で話す。


「3年間。ずっと俺が振り回して来たから。


七瀬、中学の頃、吹奏楽やってたでしょ?


高校でも続けたいって言ってたって、裕樹が言ってた」



事実だった。


裕樹に言ったことは間違いなくそうだった。


サックスを吹くのが好きだった。


高校でも続けていたいって思ってた。


けど、うん。


やっぱり、私小さい頃から伊織が他の何よりも好きだったんだと思う。



「後悔してないって言ったら嘘になる、けど…


伊織のためなら出来なくてもいいって思ったから」


伊織は少し笑った。



「なにそれ、おかしい」


「そうかな?大事な幼なじみだもん。当たり前でしょ」



そう答えると、伊織は押し黙った。


ん?


伊織の方をちらっと見ると、伊織は私のことを見つめていた。


整った顔から目が離せなくなる。



「…伊織?」


「七瀬は、俺のこと幼なじみだと思ってる?」
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