生徒会長は女の子が苦手です
え、何この人。


1人で自己完結した…。



「嫌、だなんて、言ってないでしょ…?」


「七瀬?」



これは私の気持ちも伝えるチャンスで。


今しかなくて。



「私も、伊織のこと…」



言おうとした時に、講堂の電気が消えた。


いや、もともと消えていたんだけど、舞台を照らしていたスポットライトも、放送室からのかすかな光も、非常口の緑色の光も全て。


マイクの音も聞こえない。



「…停電?」



何が起こったの…?


私と伊織の間を流れていた空気は告白の雰囲気から、生徒会役員の雰囲気に変わった。



「伊織、行こう」


「そうだね」


一度講堂を出る。


すると、恋菜たちも講堂から出てきた。


「恋菜、原因何か見てきてくれる?ブレーカーが落ちたか、スイッチが切れたか、もしくはカミナリでも落ちたか。


確認してきてもらえるかな」


「了解。行ってきます」


「真野くんも」


「はーい」


真野くんは恋菜の後ろを追いかけていった。



「会長。私たちは整備に」


「そうだね。マイク、ないけど」


「叫ぶしかありませんね」


舞台裏に回ると放送部の人が、拡声器を渡してくれた。


お礼を言って受け取ると、舞台の真ん中で演奏していた吹奏楽部に声をかける。
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