めざせクリスマス
　旅館に着いて夕食までの時間があったので、温泉に入ったり、明日の予定をどうするか話したりして過ごした。
　


　
　二人での、初めての旅行で始めてのお泊りだったので、私はドキドキで何かをしていないとなんだか落ち着かなかった。



　
　彼もまた、どうしたらいいのかわからないらしく、そわそわしているのが感じられた。
　



　夕食は部屋食だったので、二人の時間をゆっくり楽しむことが出来た。



　
　ご飯を食べて、一時間くらいだらだら過ごして、お腹を落ち着かせてからまたお風呂に入った。
　



　温泉は肌をつるつるにしてくれ、彼に素顔を始めて見せることになる私に勇気を与えてくれた。決して、化粧を落としたら別人になるほど普段厚化粧はしていないが、それでも三十歳を過ぎると、人前では素顔になるのは抵抗が出てくる。
　



　大浴場を出ると、彼がいすに座って水を飲んでいる姿が目に入ってきた。




　浴衣姿の彼も魅力的とつい見とれてしまった。




　目線を感じたのか彼は私に気付くと、彼は私に水を持ってきてくれた。



　
　いすに座ってその水を飲みながら、少しの間私達は、窓から見える夜景を楽しんだ。
　



　部屋に戻って、タオルを干したり荷物の整理をしていると、後ろから彼が待ちきれなくて抱きしめてきた。



　
　私は心の中で、『きたー！遂にこのときが。』と叫んだと同時に、緊張で身体に力が入った。自分でも何でこの時、こんなに緊張したのか今でもわからない。
　



　そして私達は、お互いの愛を確かめ合った。




　私はずっとこのときを待っていたのかもしれない。




　そぉ、心から言えるほど幸せな時間だったのだ。
　


　
　
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