恋のコーチは期間限定
3.可愛い生き物
「ソフトテニスの人のグリップは大抵ウエスタングリップ。
 このグリップで硬式のボールをソフトテニス打ちしたら腕を痛めやすいからやめた方がいい。
 さっきの最初に打てたのはコンチネンタルグリップ。
 慣れるまでは意識してこのグリップで。」

 ラケットを構えながらグリップの違いを教えてくれる。
 グリップの名称を言われても体で覚えるタイプの私はちんぷんかんぷんだ。

 これが賢い人との違いね。
 脳みその構造を覗いてみたいものだわ。

 白熱する講義はまだ続くけど、正直頭には入って来ない。

「本来ならイースタングリップがいいんだけど、癖がついてるからコンチネンタルグリップのつもりぐらいが丁度いいと思う。
 あとはスライスを覚えられると……。
 すみません。
 いきなり色々と言っても出来ないですよね。」

 しまったなと彼はコート脇のベンチに移動する。
 私も彼が座った隣に腰を下ろした。

「ごめんね。
 私、間違っても頭脳派ではないから。
 それなのに体は軟式で覚えちゃってるし。」





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