恋のコーチは期間限定
「俺、下に妹が二人いるんです。」

「そうなんだ。」

 だから女の扱いに慣れてるのかな。
 嫌味のないスマートな扱い。

「美希さんは甘えられないんですよね?
 なのに俺になら甘えられるって。」

「またその話を持ち出してからかいたいの?」

「いいえ。俺に甘えて欲しいんです。」

 そういえばその時も、ついさっきも、そんなようなことを言ってたな。

 けれど………。

「馬鹿ね。
 そしたら蒼葉くんは誰に甘えんのよ。」

 私は彼の頭に腕を回して引き寄せた。

 長男長女同士だからこそよく分かる。
 それを引き合いに出す理由も。

 蒼葉くんも甘え下手なのだろう。
 そう思うと放っておけなかった。

 何度も抱きしめたかった衝動。
 今回は自然に腕が動いてしまっていた。






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