恋のコーチは期間限定
 少しずつ近くなる距離に毎度のように心が踊って、そして気持ちが昂ぶって困ることも毎度で、壁に頭を打ち付ける俺に「どうしたの?」と心配されたこともあった。

 美希さんに触れると可愛くて、調子に乗って勝手にこっそり自爆をする。
 そんな馬鹿みたいな、けれど穏やかな毎日が思いの外、心地よかった。

 近くなる距離は心にも触れられそうな気がして、つかめそうでつかめない。
 ……つかみたくないのかもしれない。

 また俺の勘違いでした。
 なんてオチはもう懲り懲りだった。

 だから今のままでいい。
 今のまま……もう少しだけ。





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