恋のコーチは期間限定
 仕事を早く終えてテニスにその後はお泊り。

 もう何日、彼といて、彼と…しているのか。

「毎日とはさすが若い。」

「もう言わないで。」

「それ以上、否定しないということは……。
 毎日寝てるんですね。」

 柚の言葉に反論出来なかった。

 もう一度してしまってからはお互いに何かが外れてしまったみたいに当たり前に会えば体を求め合った。
 彼は二度目の時こそ強引だったけれど、普段は優しく私を抱く。

 それは初めての時もそうだった。

 壊れ物を扱うようにガラス細工が壊れないように優しく繊細に触れる。

 それが……もう…………。

 それでもどこか心は小さな隙間風が吹くように寂しかった。
 関係を持たない時の方がずっとずっと蒼葉くんを近くに感じられた気がして……。

 それは幻想だったんだから仕方ない、か。
 彼が求めて抱かれるうちが華だと思おう。

 彼はまだまだ未来のある人で私が縛っていい人ではないのだから。
 それに……優しく扱ってくれるだけで所詮は…………セフレなのだから。

 分かっているのに離れられない自分は期間限定の恋人に甘んじることを受け入れていた。






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