恋のコーチは期間限定

　更衣室の外で待っていた彼はベージュのチノパンに白いＴシャツを爽やかに着こなしていた。

　大学にこんな子がいたら騒がれるかもねぇ。
　どうも他人事のように感じる感想に思考がおばさん化してるわ。と苦笑した。

　だって私を見つけて駆け寄ってくる姿を可愛いと思っちゃうんだから。

「居酒屋でいいかな？
　色々あるから好きなもの食べれるだろうし。」

「はい。」

　コーチのお礼が食事で不服はないみたいだ。
　学生の頃って食事を奢ってもらえると嬉しかったもんなぁ。

「ところでお姉さんのことはなんて呼べば？
　中原さんじゃ妹さんと同じですし。」

　程よい距離を保ちながら隣を歩く彼はやっぱり背が高い。
　コンパスは違うはずなのに自然に歩調を合わせてくれる。

　スマートな子だなぁ。
　立ち振る舞いも嫌味のない品の良さを感じる。