恋のコーチは期間限定
 弾き終わるとシーンと静まり返って、その後にワァーッと割れんばかり拍手が起こった。

 上手。
 というより素人レベルじゃない………。

 呆気にとられてぼんやりと彼を見続けた。

 彼は軽く手を上げて拍手に応えると私に近づいて微笑んだ。

 そんな彼に思わず本音が口からこぼれ落ちた。

「あなた、誰?」

 微笑みを崩さない彼が耳元で囁いた。

「あなたの蒼ですけど?」

 離された顔は妖艶さを纏い、人が違うみたいだった。







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