恋のコーチは期間限定
 少しも気持ちが晴れずに嫌気がさしていた頃に野良猫みたいに迷い込んで来た美希さんを見つけた。

 胸が高鳴ると同時にこんな時間までどこにいたんだよ……という責めたい気持ちが渦を巻いて冷ややかな目を向けた。

 そして………。

 近づいた時にふわっと香った男物のコロンの匂い。
 その匂いに気持ちはこれでもかと沈み、そして苛立たせた。

 早くその匂いを上書きさせたい。
 そんな男の匂い、消し去って、俺の腕の中で滅茶苦茶にして………その時だけは俺の、俺だけの美希さんだって思えるから……。

 ここまで思って、乾いた笑いを吐いた。

 どれだけ虚しい関係なんだよ。






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