恋のコーチは期間限定
 脱衣所で降ろされると目の前で彼はTシャツを脱ぎ始めた。

「だから!待って!
 向こう向くまで待って!」

 急いで背を向けると背中から意地悪な声をかけられる。

「何をカマトトぶってるんですか。
 いつも見てるでしょ?」

「見てない!」

「じゃ触ってる?」

「それは………。」

「美希さんのエッチ〜。」

「もう!蒼、子どもみたい。」

 子どもだなんて……かなりの年下だってこと気にしてるの自分のくせに何を口走って……。
 せっかくいつもみたいに戯れ合っていたのに気持ちは沈んでいく。

 全て脱いだのか、素肌の蒼に後ろから腕を回されて、抱き締められて、否が応でも鼓動が騒がしくなった。

「子どもじゃないって美希さんが一番よく分かってるくせに。」

 わざと押し当てられて顔が熱くなるのが分かる。

「耳、真っ赤。」

 耳を甘噛みされ、声が漏れた。
 離された口元はうなじにキスを落として吐息を漏らした。

「……ねぇ。やっぱり一緒に入ろう?」

 無言で首を横に振るとやっと解放された。
 お風呂場の扉が開いてすぐにまた閉められた音がして、その場に座り込んだ。

「もう………。」

 文句を言いたいのに蒼と戯れつく感じが嬉しかった。





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