恋のコーチは期間限定
　頬を赤らめた美希さんが「蒼はハーフなの？」と困ったような声で質問した。

「どうして？……髪のせい？」

「うん。まぁ、そんな感じ。」

　どうも歯切れが悪いけど正直に答えた。

「ハーフではないよ。
　遠いところでどこかの血が混じっているらしいけど。
　クオーターより薄いんじゃないかな。」

「そうなんだ。意外。
　すごく綺麗な髪だもの。」

　伸ばした手は俺の前髪に触れてくすぐったい。

「美希さんの髪も綺麗だよ。」

　俺とは正反対の綺麗な黒髪。

　テニスの時はまとめているけど、おろした姿は美人な美希さんを更に際立たせていて他の男がチラチラ見ているのが優越感半分に……いや、心配の方が大多数かな。

　美希さんにその自覚がないのが余計に……ね。

「染めたいけど定期的に美容院に行くのが面倒っていうダメな理由なのよ？」

　ほら。
　本人は至って普通で気づいていない。

「似合ってるからこのままでいいよ。」

「そう？ありがとう。」

　少し頬を染めてお礼を言う美希さんにキスしたい衝動に駆られる。
　どこにいても何をしてても美希さんに触れたくてキスしたくて……そんな思考回路に苦笑した。









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