恋のコーチは期間限定
 立ち尽くす私のところへゆっくりと蒼が歩み寄ってきて向かい合った。

「ごめん。どこかに走って行っちゃって。」

 私、自分のことばっかり。
 動揺して追いかけられないなんて……。

「大丈夫だよ。
 ここまで一人で来るくらいだ。
 年の割にはしっかりしてる。
 この辺にいるって分かっただけで安心した。
 おばさんにもそう伝えておくよ。」

 蒼の言葉に安堵しつつ、私の頭の中では彼女の台詞が頭を回る。

「………白けちゃったな。帰ろうか。」

 私の様子がおかしいことに気付いたのか、ただ本当に白けちゃったのか、分からないまま蒼に連れられて蒼のアパートに戻った。






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