恋のコーチは期間限定
 体育館ではソフトバレーに、卓球。
 外でバスケとテニス。

 今回の球技大会はこれらの競技の経験者に声をかけたみたいだ。
 もちろん応援だけの人もいる。

 柚はソフトバレーのようで、手を振って別れた。

 テニスはトーナメント制。
 男女混合のシングルス。

 蒼に特訓してもらったんだから、一回戦敗退とかは避けたい。

 緊張の面持ちでコートへと向かう。

「美希さん?」

「ん?」

 呼ばれて蒼を見上げるとチュッと軽いキスをされた。

「ちょ………っと。ビックリするから。」

 コートに向かう人の群れの最後尾。
 だからって前には普通に歩いている人達がいる。

「中原さん。
 一回戦あたるからよろしくね………って顔、赤いけど平気?」

 振り返った同じ部署の大河さんに心配されてしまった。

「大丈夫です。大丈夫……。」

 隣で涼しい顔をしている蒼が恨めしい。

 蒼がこんなにいたずら好きだとは……。
 いや、なんとなく知ってはいたけど。

 でも今、大河さんが少しでも早く振り返ってたら見られて……見られて………。

「美希さん。手、痛い。」

 蒼の手をつねって離す。
 このくらいの仕返し許されるでしょ?







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