恋のコーチは期間限定

　親睦を深めるためにとお昼過ぎから夜にかけて専務の別荘にみんな集まってバーベキューをするのが恒例らしい。

「美希さんの彼、すごくかっこいいですね。」

　野菜を切ったり、一緒に準備をしている柚の友達が興味津々という感じで言った。

　やっぱりみんなそう思うのかな……。
　客観的に見れなくて、なんだか変な感じがしてしまう。

「美希さん。いいんですか？
　放っておいて。
　美希さんの彼、なんだかモテモテですよ？」

　蒼に若い女の子達が話しかけている。

　客観的に……か。
　どう見てもお似合いなんだよね。
　私とより、彼女達の方が。

　ぼんやり眺めていると頭をかきながら蒼がこちらに歩いてきて隣に並ぶとため息を吐いた。

「どうしたの？」

「いや……。
　美希さんの隣がいいっていうか。」

「もう！ご馳走様です！！」

　柚も柚の友達もキャーキャー言って恥ずかしい。

「え、そういうんじゃ……。」

「そういうのでしょ？」

　蒼に訂正されて固まる。

「私達、お邪魔虫になりたくないんで〜。」

　そんなことを言って柚達は切った野菜を持って炭をおこしている男性陣の方へと行ってしまった。

「ごめん。わがまま言った？」

「そんなこと……ないけど。」

　蒼が真っ直ぐ過ぎて、なんだか目が見れないよ。

「私達も野菜、切れたし。
　向こうに持っていきましょう？」