恋のコーチは期間限定
「俺の記憶違いじゃなければ3年前の硬式テニス夏の大会に美希さんは応援に来てたよね?」

「だって、待って。
 確かに応援には行ったし、すごく強い高一の男の子がいたのは覚えてる。
 いつもの負けず嫌いが出て試合してみたいって言った気もする。
 けど、それと惚れた腫れたは………。
 それに4月に初めて会った時だって。」

 混乱して何が誰といつ初めて会ったのか、どこで誰が誰に惹かれたのか。
 何が何だか………。

「俺のことみんな特別視して勝手に憧れたり恐れたりする。
 美希さんみたいな怖いもの知らずなかなかいないんだよ。」

「………馬鹿にしてない?」

 クククッと笑う蒼が「馬鹿にしてないよ」と笑いながら言う。

「それ、馬鹿にしてるヤツ。」

 ため息混じりに訴えても笑われるだけだった。

「だから自然体でいられるんだ。
 美希さんの隣は。」

 腕を回して抱きしめていたはずが、蒼に抱き寄せられて蒼の胸の顔をうずめた。

 私もそうだ。
 蒼といると自然体でいられる。
 思わぬ言葉が嬉しくて私も蒼の体に腕を回した。





< 200 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop