恋のコーチは期間限定
「美希さんからのサーブでいいよ。」
良かれと思って言った言葉が美希さんにはカチンと来たみたいだ。
最初にここのテニスコートで見かけた時みたいに誰も寄せ付けない凛とした顔をした。
そしてラットをコート上に立てて言った。
「ウィッチ?」
「……ウィッチやるんだ。」
笑いが漏れそうになるのをグッと堪えた。
美希さんは至って真剣だ。
俺も真剣に応えないと。
ウィッチはラケットを立てた人が「ウィッチ?(どっち?)」と聞き、言われた方が『アップorダウン』のどちらかを選ぶ。
その後にラケットを回転させて手を離し、グリップエンドのマークが上か下かでサーブやどちらのコートにするのかを決められる権利を得られる。
「じゃアップで。」
回転したラケットはカランと音を立ててマークが上向きになって止まった。
「先攻。」
譲ろうと思っていたサーブ権をもらった。
ここまでされて譲っては男が廃る。
サーブの構えに入ると俺も気持ちが入った。
無闇に手加減は出来ない。
あいにく俺も負けず嫌いだ。
「ザ、ベストオブ、3セットマッチ。
高坂。トゥサーブ、プレイ!」
セルフで審判役までするとトスを投げる。
思いっきり体を弓なりにして打ち込んだ。
「イン。」
微動だに出来なかった美希さんがため息を漏らしながら次のレシーブする場所へ移動した。
「15ー0」
こんなやり取りがあと数回続いた。
良かれと思って言った言葉が美希さんにはカチンと来たみたいだ。
最初にここのテニスコートで見かけた時みたいに誰も寄せ付けない凛とした顔をした。
そしてラットをコート上に立てて言った。
「ウィッチ?」
「……ウィッチやるんだ。」
笑いが漏れそうになるのをグッと堪えた。
美希さんは至って真剣だ。
俺も真剣に応えないと。
ウィッチはラケットを立てた人が「ウィッチ?(どっち?)」と聞き、言われた方が『アップorダウン』のどちらかを選ぶ。
その後にラケットを回転させて手を離し、グリップエンドのマークが上か下かでサーブやどちらのコートにするのかを決められる権利を得られる。
「じゃアップで。」
回転したラケットはカランと音を立ててマークが上向きになって止まった。
「先攻。」
譲ろうと思っていたサーブ権をもらった。
ここまでされて譲っては男が廃る。
サーブの構えに入ると俺も気持ちが入った。
無闇に手加減は出来ない。
あいにく俺も負けず嫌いだ。
「ザ、ベストオブ、3セットマッチ。
高坂。トゥサーブ、プレイ!」
セルフで審判役までするとトスを投げる。
思いっきり体を弓なりにして打ち込んだ。
「イン。」
微動だに出来なかった美希さんがため息を漏らしながら次のレシーブする場所へ移動した。
「15ー0」
こんなやり取りがあと数回続いた。