恋のコーチは期間限定
 心の動きを見せないように話を続けた。

「室内のスクールもあるじゃないですか。
 そしたら日焼けしない上に、俺にご飯をご馳走するくらいのスクール代で済みますよ。
 教えてくれるプロのコーチもいるだろうし。」

 いくら夕暮れからの練習でも外で練習していたら日に焼けるのは仕方ないことだ。
 きっと汗で日焼け止めも流れてしまう。

「まぁねぇ。」

 言い淀んだ美希さんは、たまに目をトロンとさせてその度にいけないとばかりに背筋を伸ばした。

 少しずつガードが緩んで行くのが分かる。

「近場のスクールはどこも知り合いが習ってるのよ。
 経験者ですって言った手前、無様な姿を見せたくないの。」

「見栄っ張りですね。」

「自分でも分かってるわ。」

 肩を落とした美希さんは力なく続けた。

「球技大会に元彼も来るの。」

「元彼……ですか。」

「えぇ。だから……。」

「余計に無様な姿は見せられないと。」

「えぇ。そうね。」







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