恋のコーチは期間限定
 こいつ、とんだ狸だ。

 じいさんの会社に勤め、その上、今の社長は親父さんだ。
 それに背くように新しい会社だなんて……。

 ……まぁ俺なら逆に新境地を開きたくもなりそうな環境ではあるが……。

 それにしたって俺には関係のないことだ。

「ご自由にどうぞ。」

 冷たく返すとクククッと笑った彼は「つれはいなぁ」とぼやいた。

「大学に在学中でも働けるでしょう?」

 ひょっとしなくても誘われている。

 在学中に働けるのがなんだ。
 今は……俺の世界はほぼ美希さんを中心に回っているのに。

「どうして俺に?
 優秀な人材ならいくらでもいるでしょう?」

 俺の質問に彼は楽しそうに返答する。










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