恋のコーチは期間限定
「美希さん。
 俺のこと……。
 心配してくれたんだよね?
 ありがとう。」

 きっと美希さんは俺のことで透梧さんへ直談判をしに行ってくれたんだ。
 透梧さんの口ぶりから考えて、俺を見世物にしないでくれだとか、何かを言ってくれたんだと思う。

 美希さんは俺の胸に顔をうずめて首を横に振った。

「ね、ここにも付けてよ。」

 腕を美希さんの前に出して指差した。

「ワイシャツに隠れるかどうかの辺りに。」

「どうしてこんなところ?」

「いいから。」

 不思議そうな顔をしてから美希さんは手首に唇を近づけた。
 口を軽くあけて目を閉じた美希さんが俺の手首に………。

 ヤバ……。
 この仕草を思い出すだけで会社で一人欲情しそう………。

 美希さんが唇を離した手首に自分も唇を近づけて、たった今、付けられた印にキスをした。
 こうすればどこにいたって美希さんと……。

「………蒼。」

「ん?何?」

「色気漂い過ぎて……。」

 それは美希さんでしょ?
 そんな文句は赤い顔の美希さんをからかいたくて別の言葉に変わる。

「……じゃ、もう一回する?」

「もう!」










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