恋のコーチは期間限定
 かなり酔っ払った美希さんに肩を貸して歩く。
 調子に乗って飲ませ過ぎたかもしれない。

 右側にもたれかかる柔らかな感触と美希さんから香る甘いにおいを極力意識しないように頭の中に難解な公式を思い浮かべながら歩く。

 すぐ近くにある美希さんの顔なんて見れない。

 俺の気持ちを知らない美希さんは無邪気な発言をした。

「耳が赤いね。
 どうして赤いの?」

「そこは見て見ぬフリ出来ないんっすね。」

 もうこっちは敬語もままならないってのに。

「だって赤いんだもん。」

「美希さんとこんだけ密着してたら誰でもなるっつーの。」

「……可愛い。」

 可愛いってなんだよ。
 俺、男だけど?









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