恋のコーチは期間限定

　居酒屋を出て、蒼は私に肩を貸して歩く。

　蒼の背が高くて肩というより腕にしだれかかっている感じだけど蒼の温もりと蒼のにおいがして今もドキドキする。

「えっと………耳を甘噛みしたんだよね？」

「うん。それで可愛いって言われた。
　俺、可愛いなんて嫌だったな。」

　拗ねたような顔をした蒼につい「今だって可愛い」と笑う。

「怒るよ？」

「だって〜。」

「コンビニ寄っていい？」

「え？えぇ。」

　もたれかかったままコンビニの店内へ。

　居た堪れない。
　離れていいだろうか。ダメなんだろうな。

　蒼はかなり意地悪な仕返しを思いついたみたいで、あろうことか『アレ』の前でしゃがみこんだ。

「あ、あの蒼？
　こんなとこでしゃがみ込まなくていいんじゃない？」

　小声で訴えても蒼は仕返しをやめない。

「買ってもいい？」

「な、だ、ど、それは………。」

「違うよ。誰と使うの？だよ。」

「え………。」

　まだ再現は続いてたんだ。
　あの時もこんな……。