恋のコーチは期間限定
 帰り道。
 コンビニを出てから蒼は無言のまま。

 何を話したんだろう。
 その時も無言だったのかな。

 思い出さなきゃ。
 私、散々やらかしてる。

「私、蒼に…もしかして……。
 このまま離れたくないとか言った?」

「そこまでは言ってくれなかった。」

「じゃ……なんて…………。
 ごめん。最低だね。忘れてる。
 きっと重要なことを。」

「うん。酷いな。」

 口の端を上げて笑った蒼がつらそうで痛々しくて見ていられない。

「俺、俺と付き合わない?って聞いた。」

 胸がキューッと痛くなって胸が軋むように苦しくなった。
 そしてその時に言ったであろう言葉を口にする。

「期間限定なら?」

「そう。君は若いし、付き合うわけにいかないって。
 急に大人ぶっちゃってさ。」

 その時の酔った私の気持ちが分かる気がした。

「だって……蒼、18歳だったし。」

「美希さんはその時の美希さんを擁護するんだ。
 俺、かなり傷ついたんだよ?」

「……ごめん。」

「それにその時はもう19だった。
 でも言ったところで未成年には変わりないし年の差も変わらない。
 だから言わなかったけど。」

 こんな再現、もうやめたい。
 でも忘れたまま蒼の隣で笑っていてはダメな気がした。







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