恋のコーチは期間限定
 奪おうと体を近づけて伸ばした腕を引かれた。
 まんまと蒼葉くんの腕の中に着地して、というよりそのまま唇を奪われた。

 強引に、けれど誘うように角度を変え舐められた唇の隙間から………。
 ヤダ。上手………じゃなくて、このキス知ってる………。

 って!そうでもなくて!!!

 胸をたたいても離れてくれない蒼葉くんに次第にこちらの力が抜けていく。
 まずいよ。これじゃ思うツボじゃない。

 何度も重ねられる唇は次第に甘い吐息混じりに濡れていく。

「ねぇ。もう一回しよう。」

 囁いた先にいる蒼葉くんは可愛い男の子ではなかった。
 大人の色気を漂わせた男の顔をしていて、急に胸が騒がしくなった。







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