恋のコーチは期間限定
 不意に携帯が鳴り響いて我に返る。
 なりふり構わず鞄から携帯を取り出した。

「はい。中原です。
 えぇ。はい。承知致しました。
 朝の会議に……はい。早急に手配致します。」

 携帯を切って蒼葉くんに背を向けた。
 もう取り繕ったところで遅い。

「会社に行かなきゃ。」

「そっか。分かった。」

 歩み寄ってきた彼に後ろから抱き締められた。

「昨日と同じテニスコートで待ってる。」

 それだけ言った彼は服を身につけて出て行った。

 



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