恋のコーチは期間限定
「いつの間に出来たんですか。男。」

 私とは正反対に楽しそうな柚。

「出来たっていうか……。」

「え?一夜の過ち的な!?」

「………的な。」

 柚は嬉しそうにはしゃいでいる。

 何が嬉しいのよ。
 他人事だと思って………。

「その人、そんなに良かったんですね。」

 不意に「昨日の美希さん良かったよ」という蒼葉くんの甘い囁きが耳元に蘇って急激に恥ずかしくなる。

「真っ赤ですよ?美希さん。」

「………もう勘弁して。」

「いいじゃないですか。
 季節とともに春が訪れたって。」

「春じゃない。」

 春と言われ急に別の重要なことも思い出した。

「もうその人とは会えないんですか?」

「会えないこともないけど………。」

 コーチの件は本気だったみたいだ。
 昨日のコートで待っていてくれるとさえ言っていた。

 でも…………。

「じゃ何も問題ないじゃないですか。」

 ため息混じりに現実を口にした。

「相手たぶん18歳。」

「………犯罪じゃないですか!!!
 そこんとこ詳しく!!」

 ますます楽しそうな柚を説得して、報告するのはお昼のランチまで待ってもらうことにした。







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