恋のコーチは期間限定
 脱衣所に逃げ込んで小さく繰り返した。

「大人の余裕、大人の余裕、我慢、我慢
我慢………。」

 調子に乗るのは悪い癖だ。
 耳に甘噛みなんてしなきゃ良かった。

 壁に軽く頭を打ちつけて、ため息を吐く。

「はぁ。生殺し………。」

 のっそりと起き上がってもう一度風呂場へと入っていく。
 シャワーを冷水にセットして頭から浴びた。

 今日は美希さんの信頼を取り戻すために平静を保ちたかった。






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