恋のコーチは期間限定
14.コーチの名に恥じぬよう
「はい。これ。」

 蒼葉くんはラケットを差し出した。

「ん?」

 疑問符を浮かべた私に説明してくれる。

「ラケット軟式のままなんじゃない?」

「ラケットまで違うの? 」

 ボールはさすがに硬式のを買ってきた。
 ラケットまで違うとは思いもしなかった。

「これ、昔使ってて使わなくなったやつだからあげるよ。」

 綺麗なスカイブルーに白のラインが入った爽やかなフレームは黒も加わって引き締まった印象を与える。

「ありがとう。素敵なラケットね。」

「俺のお古でボロいんだけど。」

 使い込んだ風合いがフレームのそこかしかに現れている。
 それだけやり込んだという印だ。

 一気に私も頑張らなきゃという気持ちになった。

「ううん。嬉しいわ。ありがとう。」

 もう一度お礼を言うと彼は照れたように頭をかいて微笑んだ。







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