恋のコーチは期間限定
 何もなくてあり合わせのご飯だったのに美味しい美味しいと食べてくれた蒼葉くんは座椅子にもたれかかって眠っていた。

 コーチのお礼だから片付けは私がすると断固拒否したらふてくされたように黙って、そこからずっと静かだと思ったら………。

 フフッと思わず息を漏らす。

「可愛い寝顔。」

 アパートに着くまでは硬式テニスとソフトテニスの違いがよく分かる動画を見ようって意気込んでいたのにね。

 流れている髪は柔らかそうで綺麗な明るい茶色。
 マジマジと見て、ため息を吐く。

 地毛だよ。これ。すごいな。
 ハーフってこと?
 色素薄そうだなとは思ってたけどさ。

 これは本気でモテ男だったかもね。
 最初に馬鹿にしたのを少しだけ反省した。
 ……少しだけね。










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