恋のコーチは期間限定
『今日のテニスは外せない仕事が入ったのでお休みさせてください。美希』

 あからさまに丁寧なメールに違和感を覚えて初めてのメールを喜べずにいた。

「どうした?蒼葉。おっ女からメールか?
 ……お固い文章だな。」

「勝手に見るなよ。」

 肩に巻きつくように絡んできている海斗を煩わしそうに振り払った。

「最近、蒼葉付き合い悪いぞ。
 サークルにも全然顔を出さないしよ。」

「おー蒼葉、今日も来ないのか?」

 仲のいい数人が俺の周りに集まってきた。
 予備校からの仲間で気のいい奴ら。

「今日はアパートに遊びに行ってもいいだろ?
 せっかく近くにテニスコートあってテニスしてから集まるのにちょうどいいのによ。」

「おう!俺も行くぞ。
 テニスして久々に蒼葉ん家で飲もうぜ。」

 数人がもう来る気になって話している。

 今日は……美希さんとは会えない。
 けれど………。

「ダメだ。当分、俺ん家禁止!
 お前ら来ると男臭くなるんだよ。」

「なんだよそれ!
 男臭いのはお互い様だろ!」

 やいやい言う仲間うちから少し離れてため息を吐く。
 最初は俺と言い争っていたのに、今はもう他のことで盛り上がっている。

 冷めた目でそれをぼんやりと見つめた。





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