【完】武藤くんって甘くない
武藤くんに挨拶してから帰りたいの。


チラリと見ると、目が合った。


わぁっ、今日すごくラッキーだよね!


授業中も話せたしこんなタイミングで目も合って、あたしやっぱりそれほど嫌われてないのかも。


「武藤くん、また明日」


笑顔で手を振ると、軽く頷いてくれた。


きゃーっ、やったぁ!


「見た、見た?武藤くんが頷いてるよ!」


小松くんにしがみつくと、そのまま抱き寄せられた。


…ええっ?


「ゆずちゃん、騒ぎすぎ。武藤が引いてる」


そうかな?


引いてるとは少し違うような…。


明らかに今までとは違うの。


手応えあるっていうか、完全なスルーじゃない。


「そんなことないよ、ねっ武藤くん」


「はい、もういーから。ゆずちゃん、帰るよ」


強引に腕を掴まれ教室の外へと引っ張られる。


そして廊下の壁に追い詰められいつの間にか壁ドン状態。


「武藤と喋るなっつったじゃん。計画ダメになっちゃうよー」


「そうだけど…なんか今日は好意的っていうか、普通に話してくれるよ?」











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