【完】武藤くんって甘くない
そのあとは、武藤くんはプリントをあたしに押し付けるとそのまま無視を決め込んだ。


ムスッとはしてないから怒ってるわけではないと思うけど…あたしに呆れちゃったのかも。


あー、困った。


小松くん、助けて!


チラチラと小松くんを見るけれど、女の子と話してばかり。


昼休みはその子と食べに行ってしまった。


あーっ、相談したかったのに。


残念…。


気落ちしながら机でお弁当を広げていると、武藤くんのところへ今朝の女の子が現れた。


「これありがとー、答え教科書に書いてるんだね。当てられたけど武藤くんのおかげで助かっちゃった。なにかお礼させて?」


座っていて身動きとれないのをいいことに、武藤くんにピッタリと寄り添う女の子。


「別にいいって」


さっと教科書を奪うと、それを机の中にしまった。


「気がすまないよー。武藤くんにはよく助けてもらってるから」


そうなの?


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