【完】武藤くんって甘くない
「そんな警戒するなって。なんもしないし」


「そっ、そういうのじゃないの。本当に歌が苦手で」


「そんな言い訳通用しないよ。さ、行こっ」


グッと腕を引っ張られ困っていると、前に誰かが立ち塞がった。


「嫌がってる」


それはまさかの、武藤くん。


ウソ…助けないって言ってたよね?


それなのにどうして…。


「武藤には関係ないよな。ゆずちゃんと俺がどうしようが」


「それはそうだけど。目障りっつってんの。やるなら他でやれよ」


ええっ、武藤くんの近くじゃなきゃいいってことなの?


あたしをかばったわけじゃないんだ…。


「ゆずちゃん、行こう。武藤がうるさい」


「でも…」


腕を引かれるけど、立ち上がらない。


だって行きたくないもん。





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