【完】武藤くんって甘くない
壁に手をつき、これ以上進まないようにこらえる。


「なにやってんだよ、抵抗しても無駄。生徒手帳晒されたい?」


そうだった!



まさかそれをネタに脅されるなんて。


「〇〇高校、1-1組、田中ゆず。生徒手帳の写真より実物の方がいいな」


「げほっ…」


顔を近付けてくるから、思わずむせてしまう。


お酒臭い…。


「おいおい失礼だな。誉めてやってんのに」


壁に追い詰められ、襟首を掴まれる。


「ごめんなさいっ…もう、帰りたいです。こんな…失恋した日に更に痛めつけないでぇ…」


今日は本当に最悪の日なんだってば。


武藤くんには永遠に嫌われただろうし、学校で醜態もさらたし、もう明日からはみんなの笑いものになること決定。


そんなあたしに、こんな仕打ち。


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