【完】武藤くんって甘くない
指でえいって魔法を使うフリをしているところに、横からツッコミが…。


って、どうしてここに武藤くんがいるの?


「あれっ…本物?」


「魔法で出したのかもな」


嫌味たっぷりに言ってくれます。


うーん、これは本物に違いない!


「どっ…どうしてここに?武藤くんもカラオケ?」


「まさか。小松に呼ばれた」


小松くんっ?


あれっ…どうして…ここがわかったの?


それに武藤くんが来てくれるなんて夢みたいだよ。


呆然としていると、武藤くんが鼻で笑った。


「俺が冷たいからヤケになってこんなおっさんと?」


「そっ、それは…なりゆきでっ。すぐに帰るつもりだったの、だけど…カバンを部屋に忘れて」


「ふーっ…」


ああっ、出たよため息がっ!


しかも呆れ返った顔ではあるけど、真正面から見つめられながら。


こんな状況なのに見つめられてドキドキしてる。


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