【完】武藤くんって甘くない
武藤くんの視線があたしの唇を捉える。


こっ…これは!


思わずギュッと目をつぶる。


ドキドキ…。


こんな風に助けに来てくれて、どう思ってるのかキスで試すってことだよね!?


武藤くんって、意外と大胆だね…。


「早くしろよ」


「えっ…あたしから?そんなの無理だよっ、恥ずかしい」


あたしからキスするなんてハードル高すぎ!


「武藤くんっ…あ、あれっ!!わあっ」


照れ隠しに武藤くんにタッチするつもりが、大きく空振り。


目を開けると武藤くんはとっくに外に出ていた。


1階に着いたみたい。


「あたしから?ってなんの話だよ」


意味ありげに笑ってるよ。


「さっき…唇触ったよね?キスしようとしたよね!それで早くしろって言うから…」


はっ。


エレベーターに乗ろうとしている人たちがクスクスと笑っている。


はっ…恥ずかしい!


急いでエレベーターを降りて武藤くんの側へ駆け寄る。

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