【完】武藤くんって甘くない
「一日俺をイラつかせなかったらな」


「あ、それ自信ない」


「即答かよ、っとにお前は…」


突き放すように押されて、体が離れた。


もうちょっと抱きしめられたかったのに!


歩き始める武藤くんを追いかける。


「もう、武藤くんしか見ないから。好き、大好き」


「……」



あー、これイラつかれるやつね。


「怒らないでよ、イライラするけどあたしのこと気になっちゃうんだよね?武藤くんかわいい!」


あれ、図星?


顔がニヤけてますけど。


「側にいるとお前のバカがうつりそー」


ひっど!


「バカじゃないもん」


「バカじゃん。なんで俺なんか好きなわけ?冷たくしてるのに」


「本当はすっごく優しいよね。知ってるもん」


修学旅行のときだって、そのあとだってずっとそう。


無愛想だけど、さり気なく優しいのをあたしは知ってるよ。



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