【完】武藤くんって甘くない
教室に戻ってみたものの、小松くんはいない。



お昼休みが終わるまでには戻るよね?



自分の席につき小松くんを待つ。



小松くんが戻るより先に、武藤くんが教室に入ってきた。



「おーい」



数十分ぶりに会えた、ただそれだけで本当に嬉しい。



ぶんぶんと武藤くんに手を振ると、華麗にスルーされた。



ああっ…。



「見えてるから。目の前で手ぇ振るなよ」



近くまで来て小声でそう言うと、すぐに席に着いている。



「はぁい」



無視されたわけじゃなくてよかった。



「武藤くん、どれか飲む?」



小松くんに買った飲み物を指さす。



「これもらう。ありがとな」



わっ、やったあ!



喉が乾いていたのか、コーヒー牛乳にすぐ手が伸びてきた。



そして爽やかな微笑み付き。



「もう、ピリピリしてない?」



思わず聞くと、飲みかけのコーヒー牛乳を吹いている。



< 205 / 254 >

この作品をシェア

pagetop