【完】武藤くんって甘くない
「だっ、大丈夫!?」


ポケットからハンカチを出し、武藤くんの机の上に零れた水滴を押さえる。



「そんなのいいのに。あー…ハンカチ汚れたよな…」



申し訳なさそうに、武藤くんがハンカチの上にあるあたしの手に自分の手をかさねる。



ドッキーン!



多分、無意識。



武藤くんは、ハンカチの汚れを確認したかっただけ。


「おっと」



今ごろ気がついたみたいで、武藤くんが慌てて手を離した。



また気まずい雰囲気に戻りたくない。



話題を変えなきゃ。



「さっきどうして笑ったの?あたしなにか面白いこと言ったかなぁ」



「あー…田中のその無神経さに救われるなって思ったらウケた」



えっ!?



「あたし、武藤くんを助けたの?」







< 206 / 254 >

この作品をシェア

pagetop