【完】武藤くんって甘くない
興味無さそうに頬杖をついて、あたしとは反対側に顔を向けている。



ダメなら止めるよね。



「いいよ、小松くんが欲しいなら…」



「わーっ、さんきゅ。ゆずちゃんは優しいな」



両手を握りおまけに手の甲にキスをされた。



チュッ!


というリップ音に、さすがの武藤くんもこっちを見た。


黙ったままでなにも言わない。



「ゔっ!!」



突然、小松くんが手を離したかと思うと、脛を押さえて床にうずくまる。



「どっ、どうしたの!?」



「あうー。武藤が…」



「武藤くんが?」



どうも、机の下から伸びた長い足で、小松くんの足を一撃したっぽい。



「隙あり過ぎだろ小松。それに田中も。そのうち根こそぎ持ってかれるぞ」



「…え?どういうこと」



「えー、やだなぁ。俺はそんなことしないって!これ、1本もーらい」



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