【完】武藤くんって甘くない
痛がりながらも、小松くんは自分の席へと戻って行った。



「武藤くん、蹴ったりしたらダメだよ…」



「足が当たっただけ」



しらばっくれた顔でよく言う。



「あれはひどいよ」



「田中もな。お前の彼氏は誰なわけ?」



えっ…。



思わず顔が熱くなる。



武藤くんが…こんなに、嫉妬心を顕にするなんて。


「それはっ…む、武藤くんだよ?」



「彼女にちょっかい出すやつにムカつくのは当然だろ?」



うんうん!



「小松のアレ、演技だぞ。見抜けないなんてとことんマヌケ」



「演技なの?えっ…痛そうだったよ」



「そうじゃなくて。お前にやたらいい顔するところとか、甘えた声ですり寄って簡単にキスするところとか」



うーん、見抜けない。


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